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2019.10.15
荻窪は歴史的に緑豊かな環境と、大正から昭和初期に武蔵野と呼ばれていた地域固有の荻の草原で良く知られていました。現在、東京都の東部に含まれるこの地域には、住宅、市民、教育施設がうまく共存しており、かつての文化的、政治的人物やアーティストの多くにとって「第二の故郷」であるという歴史的背景もあり、西の鎌倉とも呼ばれた名残のある昭和の黄金時代を象徴とした別墅地と言っても過言でもないエリアでもあります。
<アーキテクチャ>
当案件は、成熟した閑静な環境を維持しつつ、”別墅(べっしょ)“に対してのオマージュとなる建物を目指しました。緑に囲まれた住宅街に存在感を持ちながらも謙虚な建物になるよう設計されています。大きめの金色に輝く庇と外壁の鎧タイルによる陰影を活用し、シンプルで伝統的な日本の美と形を追求したデザインによって構成されています。過去に別墅もそれぞれの目的のために作成されたカスタムメイドであったように今回のデザインも「匠」という概念を更に現代的に表現したものとなっています。
<インテリア>
インテリアデザインは、本質的にこの「閑静なエレガンス」の原則に従っています。このようなアプローチは、控えめな門に反映されており、エントランスは豪華さではなく入居者を暖かく迎え入れる玄関として位置づけ、そこから続く庭園に面した吹き抜けのラウンジは、暖炉と書棚を設えた迎賓のための応接間として見立てており、四方を取り囲む特徴的なルーバーが開放感と落ち着いた優雅さを両立させています。
館内随所には、作家とデザイナーが協議を重ねて生み出されたオリジナルのアート作品が設置されており、荻窪という地名の由来である「荻の穂」や、かつての武蔵野の原風景を想起させるイメージなどを再解釈したモダンアートが、歴史ある地での暮らしを特別なものとしています。